
神奈川県内でトイレ交換や水まわりの修理を調べていると、「県営水道」と「市の水道局」という二つの言葉が出てきて戸惑うことがあります。神奈川県は水道を営んでいる事業者が複数に分かれていて、お住まいの市や町によって、問い合わせ先も、敷地の中の水道管をどこまで面倒を見てもらえるかも違います。この記事では、神奈川県を中心にトイレ交換・水まわりリフォームを手がける水ららが、県営水道と市町の水道の分かれ方、そして古くなった給水管が工事費にどう効いてくるのかを、公的な資料をもとに整理します。
神奈川県の水道は「県営」と「市町の水道」に分かれています
神奈川県が公開している「神奈川県内の水道事業者一覧」を見ると、上水道だけで18の事業者が並んでいます。上水道を大きく分けると、県が営む県営水道(運営は神奈川県企業局)と、市や町が自分で営んでいる水道の二つです。このほかに、山あいの集落などに給水する簡易水道もあります。同じ神奈川県内でも、住所によって受け持ちが変わります。
県営水道が受け持つのは12市6町
神奈川県「県営水道の給水区域」によると、県営水道は令和8年4月1日現在で12市6町を給水区域としており、約284万人に給水しています。これは神奈川県民の約31%にあたる規模です。
▶ 県営水道の給水区域(12市6町)
- 相模原市(一部の地域を除く全域)・平塚市(一部を除く全域)・鎌倉市・藤沢市・小田原市(一部)・茅ヶ崎市・逗子市・厚木市・大和市・伊勢原市・海老名市・綾瀬市
- 葉山町(一部の地域を除く全域)・寒川町・大磯町・二宮町・箱根町(一部)・愛川町(一部)
横浜市・川崎市・横須賀市などは市が営む水道
一方、横浜市(横浜市水道局)、川崎市(川崎市上下水道局)、横須賀市(横須賀市上下水道局)は、市が自分で水道事業を営んでいます。先ほどの一覧には、このほかに小田原市・三浦市・秦野市・座間市・南足柄市、そして中井町・大井町・松田町・山北町・開成町・箱根町・真鶴町・湯河原町・愛川町も事業者として掲載されています。
ややこしいのは、小田原市・箱根町・愛川町のように、市町の水道と県営水道の両方が入っている地域があることです。相模原市も、中央区・南区の全域と緑区の一部は県営水道ですが、緑区の青根、名倉・牧野の一部は相模原市の簡易水道だと市の公式ページに書かれています。「市の名前で決まる」とは限らない、というのが神奈川の特徴です。
▶ 自宅がどちらかを確かめる方法
いちばん確実なのは、水道料金の検針票や「水道使用量のお知らせ」に書かれている事業者名を見ることです。引っ越してきたばかりで手元に無い場合は、市役所・町役場の水道の担当窓口に住所を伝えれば案内してもらえます。相模原市のように、区域ごとの問い合わせ先(県営水道のコールセンターと市の簡易水道の担当)を公式ページで並べて案内している自治体もあります。
敷地の中の給水管は「お客さまの財産」──ここが工事費に直結します
意外と知られていないのが、敷地の中を通っている水道管の扱いです。横浜市水道局は「道路の下に埋設されている水道局の配水管から分かれた給水管やご家庭の水道設備などは、お客さまの財産」だと説明しています。川崎市上下水道局も「給水管はお客様の財産であり、取替え工事はお客様の負担で行っていただくことになります」と明記しています。神奈川県も県営水道の案内で「宅地内の水道管はお客様の財産です」と書いています。
つまり、道路の下の本管までは水道事業者のものですが、そこから分かれて自宅に引き込まれている管は住まいの持ち主のものです。古くなって取り替えるときの費用も、原則として持ち主の負担になります。トイレや蛇口の交換で「思ったより見積りが上がった」というときは、この宅地内の給水管や止水栓に手を入れる必要があった、というケースがあります。
漏水を直してもらえる範囲は、事業者ごとに違います
「宅地内は自己負担」が原則とはいえ、どこまでを水道側が見てくれるかは事業者によってかなり違います。神奈川県内の三つの事業者を並べると、次のようになります。
- 横浜市…水道メーターから道路側の漏水は、水道局で修理できる場合は無料で施工。ただし宅地内の復旧は原則お客さま施工で、容易に掘削や取壊しのできない法面・芝生・植木、コンクリート・タイル・擁壁・石垣・建築物などの構造物がある場所は、水道局で修理ができない場合もある、と案内されています。メーターから蛇口側の漏水は水道局では修理せず、水道工事店に依頼します。
- 横須賀市…平成15年4月から、一般家屋等では水道本管から水道メーターまでを上下水道局の費用負担で修理。高層住宅や建物内にメーターがある場合は建物手前まで。
- 県営水道…鉛でできた給水管(鉛管)については、公道から水道メーターまでの間の漏水は県営水道がサービスとして修理まで行うが、取替え工事はお客様負担。メーターから建物までの漏水はお客様で修理、と案内されています。
県営水道が公表しているのは鉛管についての扱いなので、それ以外の管でどこまで見てもらえるかは、所管の水道営業所に確認するのが確実です。同じ神奈川県内でも、「メーターまでは水道側」とは限らない、という点は覚えておいて損はありません。
▶ 外で水が出ていたら、まず水道の窓口へ
横須賀市は「お客さまが直接水道工事業者に依頼し、修理された場合は、上下水道局で費用負担できません」と注意書きを出しています。本来なら水道側の負担で直せたはずの漏水が、順番を間違えたために自己負担になってしまう、ということが実際に起こり得るわけです。庭先や駐車場で水が湧いているようなときは、あわてて業者を探す前に、まずお住まいの水道の窓口(または案内されている委託事業者)へ連絡してください。
逆に、水道メーターより家側──蛇口・トイレ・給湯器・洗面台などは、ここで挙げた三つの事業者ではいずれもお客さまの負担です。応急処置として水を止める方法は、止水栓の場所と閉め方をまとめた記事で解説しています。
鉛の給水管をやめた年が、事業者ごとに違います
築年数の古い住宅で話題になるのが、鉛でできた給水管(鉛管)です。鉛管はやわらかく加工や修理がしやすいため、古くから給水管として全国的に使われ、神奈川県内でも口径25ミリ以下の給水管に用いられてきました。しかし漏水が多いことや、健康への影響が指摘されたことなどから、各事業者が順に使用をやめています。その「やめた年」が、神奈川県内でも事業者ごとに違います。
- 県営水道…昭和8年の創設時から昭和57年3月まで使用し、昭和57年4月から新たな鉛管の布設を取りやめ。平成15年度からの鉛管解消事業により、平成27年度には公道内の鉛管がほぼ解消。私道を含む宅地内には、昭和57年3月以前に建てられた建物でまだ残っているところがある。
- 横浜市…昭和53年度から鉛管の使用を全面的に廃止。
- 川崎市…道路下は昭和58年から、宅地内は平成元年から、鉛製給水管の新規の使用を認めていない。
「築何年なら鉛管の可能性があるか」を考えるときの目安の年が、住んでいる市で10年近くずれるということです。ただし、建て替えや配管の改修で入れ替わっていることも多いので、年代だけで決まるわけではありません。
県営水道の調査では基準値を超えた戸数はゼロでした
鉛は水道法にもとづく水質基準の項目で、基準値は水道水1リットルあたり0.01ミリグラム以下です。川崎市上下水道局によると、この値は平成15年4月1日に、それまでの0.05ミリグラム以下から強化されたものです。
神奈川県は、平成16年3月から17年11月にかけて鉛製給水管を使っている170戸に協力してもらい、鉛管が水質に与える影響を調査しています。その結果は、鉛管の使用延長が7メートル以上の家庭を含めて、基準値を超えた戸数はゼロでした。
ただし、これは水道を通常どおり使っているときの話です。川崎市上下水道局は、鉛製給水管を使っている場合、流水の鉛濃度は水質基準値を下回るとしたうえで、長時間留守にした後や朝一番の水は、念のためバケツ一杯程度を飲み水や調理以外に使うようすすめています。心当たりのある方は、この一手間を習慣にしておくと安心です。
水質については基準内という調査結果が出ている一方で、経年劣化による漏水は実際に起きています。県営水道も、宅地内の鉛管については漏水の可能性が高くなるとして取替えをすすめています。
終わった制度と続いている制度が混在しています
横浜市水道局には、宅地内の鉛管改良の費用負担を軽くする「宅地内鉛管改良工事助成制度」がありましたが、平成27年度をもって終了しています(事業終了日は平成28年3月31日)。水道メーターの取替えに合わせて鉛管の内側を樹脂の管で覆う「パイプイン・エコ工法」も平成26年度で事業を終えており、要望があった場合に水道局が無料で施工する形になっています(横浜市水道局のページは2024年3月時点の案内。配管の曲がり具合によっては挿入できない場合があるとされています)。一方で横浜市水道局は、配水管の分岐から水道メーターまでの老朽化した給水管を、所有者の申込みにもとづいて水道局の負担でステンレス管に取り替える「老朽給水管改良促進事業」を続けています(同局のページは2025年7月時点の案内)。宅地内でも水道メーターより道路側の部分は、この事業の対象になることがあります。
ネット上には制度が続いていた頃の情報も残っているため、「補助が出るはず」と見込んで予算を組むと、あとで足りなくなることがあります。逆に、いま使える制度に気づかないまま自費で工事してしまうこともあります。こうした制度は事業者ごとに違ううえ、年度によっても変わります。工事の前に、お住まいの水道の窓口で今の扱いを確認してください。
古い給水管は、トイレ交換や蛇口交換の見積りにどう効くか
ここまでの話は、そのままトイレ交換・蛇口交換の見積りに関わってきます。
▶ 止水栓や接続部の傷みで、部材の追加が出ることがある
トイレを交換するときは、便器につながる止水栓を閉め、給水管の接続部を外します。ここが古いと、止水栓が固着して回らない、パッキンが硬くなっている、ねじ部分が傷んでいる、といったことが起こり、部材の交換が必要になります。水ららの表示価格も、標準工事で対応できる場合の金額です。建物が古い、排水の位置が合わない、部材が破損しているなどの理由で部材の交換が要る場合は、別途費用が加わります。
▶ 水圧や配管の条件が関わる機種もある
タンクレストイレのように必要な水圧の条件がある機種では、給水管の状態や設置階によって、そのまま設置できるかどうかが変わります。条件の考え方はタンクレストイレの仕組みと水圧の記事にまとめています。マンションと戸建てで工事の進め方がどう変わるかは、マンションと戸建てのトイレリフォームの違いもあわせてご覧ください。
▶ 給水管につなぐ工事にはルールがある
水道法では、配水管から分岐して設けられた給水管と、これに直結する給水用具をあわせて「給水装置」といい、その設置または変更の工事を「給水装置工事」といいます(水道法第3条第9項・第11項)。水道法第16条の2では、水道事業者が「給水装置工事を適正に施行することができると認められる者」を指定できること、そして給水装置がその水道事業者または指定を受けた事業者の施行したものであることを供給の条件にできることが定められています。
指定を出すのは、その住所に給水している水道事業者です。神奈川県内では県営水道と各市町に分かれているため、同じ県内でも住所が変われば指定の出し手が変わります。指定を受けた事業者の一覧は、県営水道や横浜市など、それぞれの水道事業者が公式ページで公開しています。
神奈川県を中心に、トイレ・水まわりのご相談を承ります
水ららは川崎市に営業所を構え、神奈川県内でトイレ交換・蛇口交換・トイレリフォームを行っています。トイレ交換は、工事費・商品代・処分費コミコミで86,000円〜。トイレ交換と同時にご注文いただく場合、クッションフロアの張替えは10,000円〜、クロスの張替えは35,000円〜で承っています(品番のご指定など条件によって金額が変わる場合があります)。
神奈川県内の施工例もご覧いただけます。川崎市のトイレ交換、横浜市のトイレ交換、相模原市のトイレ交換、横須賀市のトイレリフォームなど、県内各地でお手伝いしています。
出張見積りは無料です。「今の給水管のままトイレを替えられるか」「見積りに何が含まれているのか」といったご相談も歓迎ですので、お気軽にお問い合わせください。
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